地下水学会誌
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技術報告
茶園への窒素施肥量の削減が周辺水系の水質に及ぼす長期的な影響の評価
-静岡県牧之原台地周辺地域における1995年〜2018年の水質調査を事例として-
廣野 祐平
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2021 年 63 巻 4 号 p. 213-225

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抄録

茶樹の吸収量を大幅に超えた窒素施肥により,茶園周辺水系の硝酸態窒素(NO3-N)汚染等の問題が顕在化した。これらの問題を受けて,茶生産現場では1990年頃から窒素施肥量の削減が進められてきた。本研究では,茶栽培地域である静岡県牧之原台地周辺を調査地域とした,1995年~2018年の23年間の水質調査データについて,茶園周辺の排水路,地下水,湧水,小河川中のNO3-N濃度,pH,電気伝導度(EC)にSeasonal Mann-Kendall法を適用して,水質のトレンドを解析した。その結果,すべての地点のNO3-N濃度とECについて,有意な減少傾向が見られた。排水路や湧水では早くから減少し,小河川では遅れて減少した。また,排水路のpHは,調査期間を通じて酸性化傾向が認められた。

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© 2021 公益社団法人 日本地下水学会
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