茶樹の吸収量を大幅に超えた窒素施肥により,茶園周辺水系の硝酸態窒素(NO3--N)汚染等の問題が顕在化した。これらの問題を受けて,茶生産現場では1990年頃から窒素施肥量の削減が進められてきた。本研究では,茶栽培地域である静岡県牧之原台地周辺を調査地域とした,1995年~2018年の23年間の水質調査データについて,茶園周辺の排水路,地下水,湧水,小河川中のNO3--N濃度,pH,電気伝導度(EC)にSeasonal Mann-Kendall法を適用して,水質のトレンドを解析した。その結果,すべての地点のNO3--N濃度とECについて,有意な減少傾向が見られた。排水路や湧水では早くから減少し,小河川では遅れて減少した。また,排水路のpHは,調査期間を通じて酸性化傾向が認められた。