原位置トレーサー試験は,地下環境下での地下水溶質の移行特性を知る上で非常に有効な手段と考える。著者らは,これまで主に割れ目を有する岩盤に適用可能なトレーサー試験装置や,試験結果の評価手法を開発してきた。今回それらの有用性を確認するため,瑞浪超深地層研究所の花崗岩の単一割れ目を対象にトレーサー試験を実施した。試験で得られた破過曲線の再現解析から,割れ目の開口幅,分散長,割れ目表面やマトリクスに対する収着係数などの溶質移行特性を推定できた。一方,原位置で採取した岩石試料を用いたバッチ式収着試験も実施した。そして,土岐花崗岩について,トレーサー試験とバッチ試験から得られる収着係数値の差異を示した。