雪国では,道路や屋根に積もった雪を融かす手段として有効かつ安価であることから,地下水を利用した消雪パイプが広く普及している。一方で,冬期の地下水利用が涵養量を大きく上回り,渇水による井戸枯れだけでなく,地盤沈下の発生要因にもなっている地域がある。消雪パイプ発祥の地である長岡市は,消雪パイプの普及とともに地下水位低下,および一部地域での地盤沈下が問題となっている。そこで,近年の地下水位状況として長岡市の消雪パイプ用井戸の増加に伴う地下水位低下の実態を明らかにすることを目的として分析を行った。分析結果から,2002年から2022年の間に消雪井戸本数が16%増加し,それに伴い同じ降雪量でも地下水位が大きく低下していることが確認された。このため,長岡市では節水のソフト対策として節水ルールの作成,地下水位の見える化,パトロールなどの対応を行い,消雪機器メーカーでは節水機器の開発・普及に取り組んでいる。今後は節水機器の導入や地下水を使わない地中熱などを用いた融雪施設などの普及が進み,雪国の生活を守りながら地下水を持続可能な資源としていくことが望まれる。