地下水学会誌
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多孔体中の難水溶性液体の揮発:土壌ガスの物質移動特性
A. H. M. Faisal ANWAR松林 宇一郎
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2000 年 42 巻 1 号 p. 61-81

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抄録

界面問の物質移動は.多孔体中の多流体系の移動プロセスを支配する重要な要素である.多孔体中での難水溶性液体(NAPLs)の揮発は.土壌ガス吸引(SVE)法を用いた揮発性有機化合物(VOCs)の処理過程において起こる.従来.多孔体の間隙構造の不均質性及び流体分布形態の違いのために.空気一液体境界面の面積の定量が不可能であったことからから.界面問の物質移動係数は境界面の面積も含んだ形で表現していた.そこで.本研究では.界面活性剤の吸着作用を利用し.粒径の異なる3種類のガラスビーズ多孔体を用いてカラム実験を行い.気一液境界面の面積の定量を試みた.その結果.気一液境界面の面積は.飽和度の増大に伴って減少することが分かった.又.トルエンを汚染物質とし.同様な3種類のガラスビーズによる水平カラムを用いて一連の一次元NAPL揮発実験を行った.なお.この際.NAPLの飽和度を138~71%.間隙ガス流速を0.1~2cm/sの範囲とし.物質移動係数を測定した.土壌ガスの物質移動係数は.あるNAPL飽和度に対して一義的に定まる気一液境界面の面積から求めることが可能である.試験結果より.土壌ガスの物質移動係数は.間隙流速及び粒径の増大に伴い増大するが.NAPLの飽和度の増大に伴って減少する.

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