地下水学会誌
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実蒸発量と土壌水分状態を同時推定する熱収支モデルの検証
山中 勤
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2000 年 42 巻 1 号 p. 47-60

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抄録

砂漠域における地下水資源の管理計画の策定にあたっては.実蒸発量の時間的変動および空間分布を正確に評価する必要がある.これは蒸発量が水資源にとっての主たる損失項であるばかりでなく.降水の量自体に影響を及ぼす因子としても重要だからである.本研究では.裸地面からの実蒸発速度を推定する熱収支モデルが構築される.このモデルでは幾つかの気象要素と土壌特性が入力パラメータとして用いられるが.通常要求される土壌水分量の観測値を必要としない.むしろ逆に.土壌水分状態の指標となるパラメータの同時推定を可能にする.3種類の異なる裸地面で得られた野外観測データを用いてモデル計算を実施し.出力を実測値と比較した.全ての試験地において.蒸発量の推定値は実測値とよく一致することが示された.また.モデル計算によって得られた有効蒸発域の振る舞いは.それぞれの試験地における表層土壌の水分状態の変化をよく反映していた.

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© 公益社団法人 日本地下水学会
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