地下水学会誌
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地下水中の硝酸イオンに対するシルト,粘土層の役割
水理学的バリアか生物化学的バリアか
井岡 聖一郎田瀬 則雄
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2004 年 46 巻 1 号 p. 37-50

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抄録

地下水中のNO3-に対する難透水層の役割を明らかにするために,筑波台地とその縁辺斜面の2地点において観測を行った.両地点において,地下水流動形態は対象とした暗緑灰色難透水層において鉛直下方であった.地下水中のNO3-濃度は,礫混じり砂層で0.350から1.150mM,暗緑灰色難透水層で0.015mM以下であった.地下水流動形態と地下水水質の化学収支の結果は,斜面における暗緑灰色シルト・粘土層中では生物化学バリアとして脱窒作用が働いていることを示した.一方,台地では暗緑灰色粘土層が,NO3-に対して水理学的バリアの役割を果たしていることが,地下水の電気伝導度測定,水位観測結果から明らかになった.

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© 公益社団法人 日本地下水学会
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