抄録
特別養護老人ホームA寮における現在のMRSA汚染度を知り,今後の本施設におけるMRSA対応策を検討するために,MRSA汚染度調査を行った.1996 (平成8)年2月13日における全273カ所(老人と職員の手および環境)の調査では,MRSAは環境の3カ所のみから検出され,検出菌量もごく少量だったので, 3月1日より特別のMRSA対策をすべて止めた.次いで,3月6日,13日とMRSA 調査を行った.その結果は,環境および老人の手からのMRSA検出率はほとんど変わらなかったが,それまでまったくMRSAが検出されなかった職員のうち13日に入浴介助を行った5人の職員の手からMRSAが検出された.入浴介助時に老人からの汚染が考えられたので,入浴介助後の手洗いの励行と浴室および,そのまわりの清掃(時々消毒剤を用いる)に特に注意すること,また日常の各種介護後の手洗いを励行することにした.