抄録
施設・病院に入っている老人8名の生活リズムを観察し,その結果から援助方針をたて看護を行った.観察の結果,生活リズムの乱れがあった4名の生活リズムの有り様とその要因,ならびに看護について分析し,以下の知見を得た.(1)生活リズムの振幅が小さくなっているケースがあり,他者に頼るしかない寝たきりの老人に特有の生活リズムであった.(2)生活リズムの周期に乱れを生じたケースがあり,痴呆性老人に多い障害と考えられた.(3)リズムが形成されにくいケースがあり,これは病院に入院しているケースであった.その要因として無リズムで刺激の多い環境と,過敏で反応性の高い身体状況が挙げられた.(4)特別養護老人ホームは生活リズムがととのえられやすく,病院は妨げられやすい環境であった.(5)生活リズム回復への共通した援助として,苦痛を緩和し心地よいケアを継続して行うことが挙げられた.