抄録
本研究の目的は,在宅療養中の高齢脳卒中患者の食に関する意識構造を明らかにし,再発予防にむけた食事指導について検討することである.方法は,通院中の高齢脳卒中患者7名を対象に半構成的面接による質的帰納的研究法による分析を行い,さらに臨床栄養データを統合させて検討したその結果,脳卒中の《原因の認識》のうち原因の内在的気づきは『再発をおこさないための食』,『疾病コントロールのための食』であった.一方,原因の外在的気づきは『現在の関心に関連させた食』であり,3つの《意味づけした食意識》が抽出され,その背景には《再発の脅威》が影響していた.全対象とも低栄養状態はみられなかった.高齢脳卒中患者の再発予防にむけた食事指導は,食に関する意識構造である《原因の認識》と《意味づけした食意識》および《再発の脅威》に着目することの重要性が示された.