糖尿病
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症例報告
妊娠中に高中性脂肪血症による急性膵炎を発症した2型糖尿病合併妊婦の1例
細川 悠紀福本 まりこ吉田 陽子岡田 めぐみ藥師寺 洋介上野 宏樹川崎 勲依藤 亨三田 育子中本 収林下 浩士細井 雅之
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2014 年 57 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

症例は20歳女性.非妊時BMI 32.0.妊娠28週に腹痛を発症,血清アミラーゼ上昇,高中性脂肪(TG)血症,高血糖,腹部超音波検査で膵腫大を認め,急性膵炎と診断された.治療を開始したが糖尿病性ケトアシドーシス(DKA),DICを併発,第3病日子宮内胎児死亡が確認された.帝王切開にて死児の娩出後,高TG血症,DKAに対しヘパリン,インスリン持続投与に加え血漿交換を施行,急性膵炎に対する治療を行い臨床所見の改善を得た.妊娠中はリポ蛋白リパーゼ(LPL)活性が低下するため,正常妊娠においてもTGは高値となるが,特に糖代謝異常合併妊娠においてはTGの上昇が顕著である.本症例は膵炎発症時,すでにHbA1cが高値(NGSP値 9.8 %)であり,未診断の糖代謝異常を基礎として高TG血症となり,急性膵炎に至ったと考えられた.妊娠初期に糖代謝異常を早期診断し適切な管理を行うことで胎児死亡を防ぐことができた可能性がある.

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© 2014 一般社団法人 日本糖尿病学会
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