抄録
特養における看護職の「日常的に実践している看護行為」と「大切に思う看護行為」に焦点を当て,看護活動の現状および課題を検討するために,A県の全特養(66施設)の看護職に面接および質問紙調査を実施した.182名の看護職の属性と「日常的に実践している看護行為」と「大切に思う看護行為」については,上位10位についての回答を分析した結果,以下のことが明らかになった.看護職の平均年齢は42.8歳,年齢別の構成は,30歳代以上が約9割を占め,病院勤務経験者も約8割を占めた.「日常的に実践している看護行為」は特養にほぼ唯一の医療職である看護職の役割や特徴を示すものであった.看護職が「大切に思う看護行為」は,「日常的に実践している看護行為」とは2行為を除き異なっており,看護職が大切に思いながらも現実的には実践が容易ではない状況が示唆された.また,「日常的に実践している看護行為」であり,かつ「大切に思う看護行為」は『感染症の予防・処置』,『病状観察・情報収集』であった.これらは,看護職の役割として日常実践している中でも,特養の看護職の看護活動の課題を考えるうえで,特に,重要な看護行為であると考えられた.