抄録
A介護老人保健施設(平均要介護度3.4)における入所者50人(歩行自立者13人,歩行介助者7人,車いす自立者9人,車いす移乗のみ介助者6人,車いす移動・移乗介助者15人)を対象に,自立支援に向けた援助の示唆を得るため,瞬間観測法を参考に,日中の活動時間である9〜17時に10分ごとに入所者の居場所,姿勢,行為の実態を計48回観察し集計した.その結果,歩行自立者は休息も取り入れながら座位を中心に活動していた.歩行介助者は認知症症状が全員にみられ座位での「無為・睡眠」が多かった.車いす自立者は車いす移動を含め活動的にすごしていた.車いす移乗介助者は座位での文化的行為があまりみられなかった.これらのことから,歩行自立者には立位での行為に着目したケア,歩行介助者には活動を促すケアの必要性が示唆された.車いす自立者には歩行への働きかけ,車いす移乗介助者には座位姿勢の問題によって行為が制限されていないかアセスメントする必要性が示唆された.