抄録
中規模病院の一般病棟で認知症高齢者のケアを行う看護師の困難を明らかにするため,看護師12人に半構造化面接を行った. KJ法で分析した結果8つの大グループが抽出され,図解化・文章化の結果,一般病棟での認知症高齢者の看護では,安全な医療提供に対する困難と一般病棟の条件に起因する困難があり,これらが一体化し"看護師"であるがゆえの困難が生じていることが明らかになった.医療現場での認知症ケアに関する知識の教授だけでなく,看護師が抱く困難を共有できる研修の必要性が示唆された.また,看護管理者には,重症患者のケアとともに,治療を要する認知症高齢者に必要なケアが提供できる人員配置,看護師が個々に感じていることを表出し合える環境づくりを行うことが期待される.さらに,認知症高齢者が混乱なく安心して入院加療を受けるための手厚い看護が評価される仕組みを,国レベルで検討していく必要性が示唆された.