2019 年 23 巻 2 号 p. 49-58
経鼻胃管の使用率は嚥下機能障害のある入院高齢者で頻度が高いが,経鼻胃管留置中の経口摂取が,経口摂取の喪失に伴う苦痛を緩和し得るかは明らかではない.そこで本研究は,摂食状況別に比較した経口摂取の喪失に伴う苦痛(飲むこと,噛むこと,味わうことができない・食べたいものが食べられない,飲みたいものが飲めない・だれかと話ながら食事をする機会がない・他者の食事がさらされる・口渇)について明らかにした.対象者は都内医療機関3施設の入院高齢者29人で,嚥下機能障害で経鼻胃管留置中の者を適格基準に基づいて選定した.
非経口摂取群(n=14)と経口摂取群(n=15)で経口摂取の喪失に伴う苦痛の程度に差を認めなかった(p=.27).この苦痛のうち「食べたいものが食べられない・飲みたいものが飲めない」は経口摂取群で苦痛が弱く(p=.04),経口摂取により緩和され得ることが示唆された.経鼻胃管留置日数と経口摂取の喪失に伴う苦痛に負の相関関係を認め(r=-0.46,p=.01),留置日数30日未満の群は30日以上の群より苦痛が強かった(p<.01).経口摂取状況の変化に伴う苦痛への看護ケアは,早期に提供する必要性が示唆された.