本研究の目的は,座位からの転倒転落事故による高齢者への身体的影響の有無に関する要因を明らかにすることである.
介護老人保健施設3施設に勤務する看護師に過去1年間のすべての事故報告書のうち座位からの転倒転落事故を抽出してもらい,事故の状況や高齢者の特徴などの情報を得た.ロジスティックモデルを用いて,性,認知症高齢者の日常生活自立度の影響を調整してオッズ比(OR)を算出した.
座位からの転倒転落事故は112件で,居室での発生が50.9%と多かった.身体的影響ありは22件(19.6%)であった.上半身の左右の傾きのある高齢者はない高齢者に比べて身体的影響を受けるものが多かった(OR=6.93,p=0.016).
座位からの転倒転落事故による高齢者への身体的影響の有無には,上半身の左右の傾きが影響しており,高齢者の座位時の姿勢に着目した見守りの重要性が示唆された.
抄録全体を表示