2019 年 24 巻 1 号 p. 41-49
本研究は,特別養護老人ホーム(以下,特養)における看護実践能力尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することを目的とした.概念分析,半構造化面接法で得られたデータを基に尺度項目を作成し,表面・内容妥当性を検討した結果,特養における看護実践能力尺度原案を作成した.全国の特養194施設の看護師603人を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,項目分析,I-T相関分析,探索的因子分析の後,基準関連妥当性の検討,既知グループ法,内的一貫性と安定性を検討した.探索的因子分析の結果,4因子34項目が抽出され,【その人らしい生活を支える】【多職種と連携する力】【変調に気づき対応する力】【望む看取りを支援する力】と命名した.Cronbach’s α係数は尺度全体では0.958で,基準関連妥当性では看護実践能力自己評価尺度等といずれも有意な正の相関を示した.既知グループ法では看護管理職と,研修に参加している人が有意に点数は高かった.再テスト法では1回目と2回目の合計得点の間でρ=0.791(下位因子ρ=0.510~0.801)の有意な相関がみられた.以上により,特養における看護実践能力尺度の信頼性および妥当性が確認された.