老年看護学
Online ISSN : 2432-0811
Print ISSN : 1346-9665
最新号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
巻頭言
特集 認知症高齢者の尊厳(意思)を重視した看護の取り組み
1.急性期病院で実現した身体抑制のない看護
2.急性期病院における身体拘束ゼロ病棟達成の取り組み
原著
  • 丸山 加寿子, 河野 あゆみ, 金谷 志子
    2019 年 24 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     本研究では過去5年間にさかのぼり,独居要介護高齢者100人の居宅介護支援者台帳と介護認定に関する書類から,要介護度改善群,入院群,入所群,在宅死群に分類し,要介護度の変化と在宅サービスの利用状況の特徴を明らかにした.その結果,対象者の在宅療養終了時の転帰は入院が45人(45%),入所が31人(31%),要介護度の改善が15人(15%),在宅死は9人(9%)であった.在宅療養終了時には,要介護度改善群に比べ入所群の者は在宅サービスの種類が有意に増え(p=.047),在宅死群の者は,医療系在宅サービスの種類が有意に増えていた(p=.036).また,要介護度改善群の者は軽度の要介護度で経過し(p<.001),入所群の者は療養開始時点から終了時点の平均要介護度は1.5(標準偏差0.7)から2.4(標準偏差1.1)に低下していた(p=.002).以上より,要介護度改善群の者は要介護度が重度に移行せず療養生活を終了する傾向があり,入所群の者は在宅療養終了時には要介護度は悪化し,在宅サービスの種類を増やす傾向が示された.また,在宅死群の者は在宅療養終了時には医療系在宅サービスの種類を増やす傾向にあることが示された.

  • 信頼性と妥当性の検討
    笹谷 真由美, 長畑 多代
    2019 年 24 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     本研究は,特別養護老人ホーム(以下,特養)における看護実践能力尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することを目的とした.概念分析,半構造化面接法で得られたデータを基に尺度項目を作成し,表面・内容妥当性を検討した結果,特養における看護実践能力尺度原案を作成した.全国の特養194施設の看護師603人を対象に無記名自記式質問紙調査を行い,項目分析,I-T相関分析,探索的因子分析の後,基準関連妥当性の検討,既知グループ法,内的一貫性と安定性を検討した.探索的因子分析の結果,4因子34項目が抽出され,【その人らしい生活を支える】【多職種と連携する力】【変調に気づき対応する力】【望む看取りを支援する力】と命名した.Cronbach’s α係数は尺度全体では0.958で,基準関連妥当性では看護実践能力自己評価尺度等といずれも有意な正の相関を示した.既知グループ法では看護管理職と,研修に参加している人が有意に点数は高かった.再テスト法では1回目と2回目の合計得点の間でρ=0.791(下位因子ρ=0.510~0.801)の有意な相関がみられた.以上により,特養における看護実践能力尺度の信頼性および妥当性が確認された.

資料
  • 内海 史子, 大塚 眞理子, 出貝 裕子
    2019 年 24 巻 1 号 p. 50-58
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,認知症看護認定看護師(以下,DCN)による,外来通院している認知症高齢者(以下,外来認知症高齢者)の家族支援の実施と関連要因を明らかにすることである.全国の医療施設に勤務するDCN499人を対象に自記式質問紙調査を実施した.199人(有効回答率39.9%)の回答について,記述統計とχ2検定,二項ロジスティック回帰分析を行った.

     DCNの所属部署は病棟が133人(66.8%)で最も多かった.外来認知症高齢者の家族支援を行っているのは84人(42.2%)であった.DCNによる外来認知症高齢者の家族支援の実施に関連する要因は,活動時間の保証,認知症相談窓口の存在,外来所属,経験年数であった.外来所属以外で,外来認知症高齢者の家族支援を行っているDCNは,認知症高齢者の家族支援に対する認識が高く,家族支援の役割を果たしていると考えられた.今後は,その重要性を医療施設の管理者およびDCN自身が認識し,組織的な取り組みを行うことが必要である.

  • 齋藤 美華, 村崎 志保, 川原 礼子, 佐藤 千穂
    2019 年 24 巻 1 号 p. 59-68
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     高齢者の「予想される死」の援助場面における「呼吸停止確認」の現状について訪問看護師に郵送質問紙調査を実施し,122人から回答を得た.

     医師不在時に「呼吸停止確認」をしている訪問看護師は69人,していない訪問看護師は53人であった.看護師による「呼吸停止確認」に「賛成である」と考えている人は40人(32.8%)であり,「呼吸停止確認」をしていないが「すべきと考える」3人(2.5%)と「条件が整えば実施してよいと考える」の33人(27.0%)を合わせると,約6割の看護師が看護師による「呼吸停止確認」について肯定的にとらえていた.また,認定・専門看護師は有意に「呼吸停止確認」を肯定的にとらえていた.看護師は,医師の到着時間が遅いという現状のなかで,高齢者および家族のよりよい看取りを尊重するために「呼吸停止確認」を行っていた.

     近年,看護師の医行為が急激に拡大しつつある現状のなかで,改めてケアとキュアの統合の推進の必要性が明らかになった.

  • 小山 尚美, 渡邊 裕子, 流石 ゆり子
    2019 年 24 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     「認知症ケア体験研修」を受講した急性期病院看護師の認知症看護実践の様相を明らかにすることを目的に,看護師10人に半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した.【体験研修での実感を伴った学び】があることで,看護師は【認知症高齢者の立場に立った安心につながる看護】【身体拘束をせず安全に過ごせるための看護】【その人らしい生活が継続できるための連携】を行い,【認知症看護の実践による手応え】を得ていた.これは認知症高齢者への看護や必要な連携を強化するだけでなく【認知症看護の質向上に向けた主体的な発信】を支えるものとなっていた.また,認知症看護実践には【認知症看護を実践しやすい雰囲気やシステムの存在】が必要で,実践によりさらに強化されていた.認知症看護実践の促進は,体験研修受講者の立場や組織のあり方に左右されることが示唆され,今後は認知症看護の質向上に向けた組織づくりの課題を明らかにする必要がある.

実践報告
  • 絵画療法と音楽療法を用いた演習による学生レポートの分析
    川久保 悦子, 熊谷 玲子, 井上 映子
    2019 年 24 巻 1 号 p. 77-86
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/08/01
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,大学3年次における老年看護学演習において,「アクティビティケア」の授業を企画・実施し,受講後の学生レポートから「アクティビティケア」「音楽療法」「絵画療法」の各認知度と体験内容を明らかにし,教育的成果を考察することである.分析対象は,「絵画療法」と「音楽療法」の各90分の授業受講生93人のレポートであり,テキストマイニングによる分析を行った.結果,認知度は「アクティビティケア」24%,「絵画療法」59%,「音楽療法」81%であった.学生は「絵画療法」中は「楽しい」「集中」,「音楽療法」中は「楽しい」「リラックス」等の感情を抱き.「絵画療法」後は「みな」「楽しい」,「音楽療法」後は「アセスメント」「方法のすばらしさ」等の感想をもった.「アクティビティケア」の体験演習は学生の療法の理解を深め,各療法の適応や有効性,および個別性のある高齢者ケアの方法を思考する機会となることが推察された.

委員会報告
feedback
Top