本研究の目的は,地域高齢者の虐待を早期に把握するため,民生委員が使用する高齢者虐待チェックリストを開発することである.先行文献から虐待サインの項目を精選したチェックリスト案をA県B町の民生委員48人に配布し,内容妥当性を確認した.次に,A県C市の虐待担当部署の地域包括支援センターおよび保健センター専門職108人を対象に郵送法による質問紙調査を行い,信頼性・妥当性を検討した.探索的因子分析の結果,【家族介護力の低下】【高齢者の生活行動が不自然】【本人の訴え】【所在の不確定】の4因子から構成され,全体のCronbach α係数が0.897となり,信頼性が確認された.構成概念妥当性をみるため確認的因子分析を行い,モデルの適合度はGFI=0.917,AGFI=0.884,CFI=0.934,RMSEA=0.058であった.民生委員用高齢者虐待チェックリストは19項目からなり,虐待の予兆を把握し,専門職へのつなぎの情報ツールとしての活用が可能である.