本研究の目的は,救命救急病棟でせん妄を発症した高齢患者に付き添う妻がどのような体験をしているかを明らかにすることである.救命救急病棟でせん妄を発症した高齢患者に付き添う妻6人を対象に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した.その結果,【せん妄症状に心がかき乱される】【夫の状況を自分なりに解釈してみる】【病棟の環境に気を遣いながら夫の対応をする】【制限を受けている夫をかわいそうに思う】【状態が悪くならないように動くことをがまんさせる】【夫婦での今後の生活を案じる】の6つのカテゴリーが抽出された.妻は夫の言動の意味を共にすごしてきた夫婦の歴史から紐解いていたことが推察される.そして,妻が夫のことを理解してあげられる存在としてなにかしたいという思いがあることがうかがえた.看護師は妻と共にできる援助があればいっしょに行い,妻の行為が夫のせん妄の回復に寄与していることを伝えていくことが妻への支援につながるのではないかと考える.