本研究は,急性期病院の開放型病床における認知症高齢者への看護の構造を明らかにした.開放型病床に勤務する看護師4人を対象にグループインタビューを行い,逐語録をデータとして質的に分析した.その結果,開放型病床に入院した認知症高齢者への生活の継続を見据えた看護は【認知症高齢者の早期退院に向けた理念と使命の共有】と【盤石なケア体制】の2カテゴリーを支持基盤として,時間軸を踏まえた【認知症高齢者の入院生活への適応に向けた調整】【認知症高齢者の自立支援と介護負担の軽減】【認知症高齢者の自宅退院に向けた査定】【退院に向けた家族の整え】【他職種・他部門・多機関との協働】【退院前の認知症高齢者・家族,専門職者の合意形成】の6カテゴリーの実践から構成されていた.開放型病床の看護師は,院内外の専門職と連帯性ある立ち位置で認知症高齢者の生活の経過を俯瞰して,認知症高齢者を生活者としてとらえ,継続的な情報収集と院内および多機関の多職種との対話を繰り返し,認知症高齢者の全身状態の回復と心身の自立に向けて取り組んでいると示唆された.