老年看護学
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実践報告
学生主体による高齢者の身体拘束に関する演習をとおした学生の学び
齋藤 美華佐藤 千穂
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2021 年 25 巻 2 号 p. 132-139

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抄録

 学生主体による高齢者の身体拘束に関する演習を老年看護方法論に導入し,その学びの内容を明らかにすることを目的とした.

 ベッド柵,シーツ,ミトン,上肢抑制帯を使用し,高齢者,家族,看護師の役割を体験するグループ間の演習を行った.

 A大学看護学科3年次学生61人の演習後のレポートを質的に分析した結果,【身体拘束による高齢者および家族,看護師にとっての苦痛の実感】【身体拘束をしないことの重要性の実感】【身体拘束を行ううえでの配慮や工夫の必要性の実感】【身体拘束の必要性の実感】【身体拘束の実際の想起による苦痛や倫理的問題の実感】【身体拘束を考えるにあたっての老年看護の基本の再確認】の学びが抽出された.

 学生は,高齢者や家族および看護師の立場から苦痛を実感することで身体拘束をしないことの重要性を学ぶ一方で,身体拘束を肯定した学びを行っていた.実習場面において学生の経験を引き出しながら批判的思考が学習できるよう関わること,身体拘束に対する意識づけを繰り返し図ることの重要性が示唆された.

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