都市計画論文集
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特定優良賃貸住宅入居者の属性と入居までの経緯に関する研究
愛知県特定優良賃貸住宅居住者調査の分析
谷 武
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ジャーナル オープンアクセス

2005 年 40.3 巻 p. 571-576

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抄録

我が国では借家の居住水準が著しく立ち後れており、特に、世帯人員が 3_から_5人の中堅層向けの良質な賃貸住宅のストックが不足している。このような状況を踏まえ、平成5年に特定優良賃貸住宅法が制定された。本研究は、筆者らが実施した愛知県特定優良賃貸住宅居住者調査の結果から、入居者の属性および入居までの経緯を明らかにすることで、どのようなニーズを持った世帯が特優賃に入居しているのか、また、特優賃が市場でどのように機能しているのか分析することを目的とした。また、公的主体だけでなく民間業者等も管理主体になれる点にこの制度の特徴があることから、管理者主体の違いによる差異を検討した。分析の結果、現住宅の選択に際して住宅の広さや間取りを評価していた世帯は 71.1%と多く、特優賃の特徴である住宅の広さはある程度評価されていたが、特優賃を選択する決め手にはなっていなかった。実際、入居者には新婚世帯を中心とする2人世帯の入居が多く、この制度が主たる入居対象と想定している世帯と実際の入居者にずれが生じていた。また、住宅を探し始めた当初から特優賃制度を知っていた世帯は2割に留まっており、制度の周知が進んでいなかった。

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© 2005 公益社団法人 日本都市計画学会
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