2022 年 27 巻 1 号 p. 27-36
本研究の目的は,認知機能の低下によってインスリン自己注射の介助が導入された時期の高齢者の状況と,そのような高齢者へ行っている看護援助を明らかにすることである.この時期の高齢者の看護援助経験のある看護師23人に半構造的面接法によるデータ収集を行い質的記述的に分析した.その結果,看護師のとらえた高齢者の状況として【血糖コントロールにつながるインスリン自己注射はできていない】【いまはインスリン自己注射はできているつもりでいる】【インスリン自己注射に関して周囲や家族と距離をおいてやっている】【介助の導入を自分なりに納得して受け入れる】の4カテゴリー,看護援助として【認知機能の低下でインスリン自己注射ができなくなることを想定して関わる】【自宅でインスリン自己注射が継続できる方法を検討する】【家族からインスリン自己注射の介助が受けられるよう働きかける】【納得できる自己決定を支援する】の4カテゴリーが抽出された.高齢者の思いを尊重しながら介助を導入する援助の必要性が示唆された.