2022 年 27 巻 1 号 p. 46-56
終末期医療での高齢者の意思決定支援においては,看護の専門的自律性とコミュニケーション能力が不可欠である.そこで,「看護の専門的自律性を基盤としたアサーティブ・コミュニケーション能力向上プログラム(PAN-AC)」を開発し,一般病院の看護師に実施して効果を評価した.講義やグループ討議を内容とするプログラム全4回に参加した32人を分析対象とし,介入前後の測定値でWilcoxon符号付順位検定を行った.「看護の専門的自律性」を評価する看護の専門的自律性測定尺度は,下位因子「認知能力」「実践能力」が介入前に比して介入後は有意に高値となった.「アサーティブ・コミュニケーション能力」を評価する日本語版RASは,下位因子「非主張的な自己表現」が介入前に比して介入後は有意に高値となった.プログラムが,終末期医療における高齢者の意思決定支援に有効との示唆を得た.