老年看護学
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夫と死別した高齢女性の悲哀の仕事 : サポートグループにおける参加者の語りから
池田 紀子奥野 茂代岩崎 朗子
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2004 年 9 巻 1 号 p. 36-43

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抄録

本研究は死別した高齢女性のサポートグループにおける悲哀の仕事について,参加者の語りから明らかにすることを目的とした.夫と死別した高齢者女性に対し,1回2時間,計10セッションのサポートグループにおける参加者の語りの内容を分析した.その結果,大きく6カテゴリーに分けられた.(1)夫の介護と看取り,(2)夫への思慕,罪悪感,怒り,(3)抑うつ,(4)家族や友人の中での孤独と傷つき,(5)あきらめから受け入れへ,(6)これからの人生に向けての生活の再構築,であった.またこれらのテーマは死後数か月から1年以上を経ても,その量や質を変化させながらも,つねに同じように語り続けられ,これらは重層的に関連しつつ悲哀の仕事を促進させた.サポートグループにおいて自由に自発的に自らの悲しみについて語ることやファシリテ一ターや参加者同士の相互関係により悲哀の仕事が促進することが明らかになり,また仲間との出会いや,今後の地域での交流への発展の可能性が示唆され,グループの果たす意味を明らかにすることができた.

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