本稿は,韓国の地方都市における商業地域を把握することを念頭に置き,建物利用や業種構成に着 目したフィールドワークに基づく土地利用データベースの作成手順を紹介するとともに,その有効性 を検討した。データベースの作成に関しては,韓国における地図データの整備・利用可能状況,研究 対象都市およびその調査範囲の設定方法,現地調査における手順・留意事項,GISデータ作成方法を整 理して示すとともに,結果例を提示した。その結果,水平的・垂直的な土地利用の分析だけでなく新 旧市街地の定量的な比較も可能であり,GISを援用することで,空間的な分布・変化の傾向も把握可能 であることを示すことができた。また,都市内部構造の転換点とその要因を追及することも可能であ り,韓国における都市間の比較や,韓国と日本の地方都市の比較を見込めることを指摘できた。