地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
甘さの地域構造を探る ―砂糖をめぐるグローバリゼーションとローカリゼーション―
矢ケ崎 典隆
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2018 年 11 巻 1 号 p. 1-17

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抄録
21世紀に地理学はどのような方向に進むべきなのであろうか。本稿は,地理学の伝統的な視角,すなわち自然と人間,起源と伝播,地域と景観,時間と変化に,グローバリゼーション,ローカリゼーション,サステイナビリティの視角を組み込むことにより,ローカルからグローバルまで,地域と世界を読み解くための考察の枠組みを提示することを目的とする。具体的な事例として砂糖について検討した。世界の砂糖はサトウキビ糖回路とテンサイ糖回路により供給され,これらの回路はそれぞれサトウキビ糖地域とテンサイ糖地域によって構成される。製糖地域を構成する四つの要素,すなわち資本,製糖工場,原料調達,労働力に着目することにより,製糖の地域的特色,製糖地域間の交流と競合関係,グローバルな動向,製糖の持続性について,地理学からアプローチすることができる。このような甘さの地域構造を探求することは,地理学にとって魅力的な研究フロンティアである。
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