地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
和歌山県美浜町における煙樹ヶ浜松林の環境保全活動による防災教育と観光資源の保持との関係
児玉 恵理
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2021 年 14 巻 1 号 p. 37-49

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抄録
本稿では,和歌山県美浜町における煙樹ヶ浜松林の環境保全活動が防災教育と観光資源の保持とどのような関係になっているかを考察する。地域住民の要望により,行政が主体となって松林の保全・管理が行われている。そして,南海トラフ地震の発生が予想される和歌山県の沿岸部では,松林の伐採や松の植樹などの防災教育が実施されている。煙樹ヶ浜松林の一部は,地域住民の交流の場だけでなく,次世代のための防災教育と地域活性化の場でもある。また,江戸時代から継承されてきた煙樹ヶ浜松林は,地域の防災資源であるとともに観光資源でもある。煙樹ヶ浜は,アニメの聖地としてコンテンツ・ツーリズムにおける目的地にもなっている。そのようなかかわりにおいて,環境保全活動は,物語による学校における防災教育と防災・減災対策における地域住民との連携による防災教育の両方と関係している。そこに煙樹ヶ浜の自然景観と文化的景観の保持も連関し,それらが相互に機能して煙樹ヶ浜松林は持続可能となる。
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© 2021 地理空間学会
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