地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
地域社会維持のための農業からみた日本の農業地域区分の可能性
中国山地を事例に
大石 貴之駒木 伸比古
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2022 年 15 巻 3 号 p. 249-274

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抄録
農業・農村の有する多面的機能が注目されるなかで,本稿は集落営農に注目することで,農地や地域社会維持という観点から現代日本の農業地域区分の可能性を示すことを目的とした。市町村において集落営農が盛んとなる条件と役割を踏まえた指標を検討し,従来の多変量解析を用いた農業地域区分の手法を援用した地域の類型化および地域区分を行った。その結果,東西区分や地形,都市圏からの距離などが反映された地域類型および地域区分を導出することができた。その根底には水稲作を基盤とする伝統的な農業が行われているか否かという地域的特徴があること,そして都道府県による政策動向が区分に現れることの2点があることが明らかとなった。このことは,集落内での伝統的な農業が行われている地域では地域コミュニティや農地管理が比較的行いやすいが,政策主導の集落営農という性格上,各種の関連施策の状況によっては集落営農の活動が左右されることを意味していると考えられる。
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© 2022 地理空間学会
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