地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
変容する郊外
高齢化・都市縮退を乗り越えて
久保 倫子
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 15 巻 3 号 p. 279-282

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抄録

大都市圏の外延的拡大と大都市圏内の機能分化に特徴づけられた20世紀の都市の構造は,21世紀に入り大きな転換期を迎えている。この中で生じてきたのが,長期的に衰退傾向が継続する縮退都市化,大都市圏内での分断化,これに加えて日本では1970~80年代に開発された外部郊外での住民および建造環境の高齢化が顕著となっている。地方都市では,空き家や空き地の増加,中心市街地の衰退などが問題視されてきた。この背景には,グローバリゼーションにともなう都市間競争に打ち勝つため,規制緩和と都心再開発を好む起業家的都市化が進んだことがある。その結果,継続的に都市への投資が続いた都心部と続かなかった郊外,特に大都市圏の外延的拡大が最大限となって生じた外部郊外とでは,居住環境上の明暗が生じている。本特集号では,東京大都市圏の外部郊外にあたる龍ケ崎市における事例研究により,郊外住宅地の将来像を検討する。

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© 2022 地理空間学会
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