本研究は東京大都市圏の外部郊外に位置する竜ヶ崎ニュータウンを事例に,郊外住宅地に暮らす高齢者の帰属意識を明らかにしたものである。調査参加者は郊外第一世代に相当し,都心通勤を経験した男性と専業主婦の女性で構成される。分析の結果,調査参加者の帰属意識は主に住民同士の社会的つながりによって形成されていたことがわかった。女性居住者は入居当初から交友関係を長く形成してきた一方,男性居住者は退職後に新たな関係を構築する傾向が確認された。また本研究では,竜ヶ崎ニュータウンの緑豊かな景観を故郷の風景と重ねることで帰属意識を感じ取る調査参加者の姿が捉えられた。外部郊外の自然環境は,地域との深い結びつきを取り戻すための「鍵」として機能していることが示唆された。以上より,外部郊外における第一世代の高齢者が有する帰属意識は,彼らが経験してきた伝統的社会規範およびライフコースと深く関わるものであると結論づけられる。