地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
行政主導による低利用不動産の利活用がもたらす中心市街地の機能変容
群馬県前橋市を事例
有田 英樹
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2025 年 18 巻 2 号 p. 81-94

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抄録
本稿では, 低利用不動産が顕著にみられる前橋市の中心市街地において,行政主導による低利用不動産と出店意志者のマッチングプロセスを解明し,新規事業者の拡大に伴う都市機能の変容を明らかにすることを研究の主目的とした。前橋市の中心市街地では商業・サービス業の郊外移転や人口減少・少子高齢化などを理由に100 軒を超える低利用不動産が存在しており,その利活用が大きな課題となっていた。前橋版リノベーションまちづくり「マチスタント」は,低利用不動産の利活用を通して商業振興・まちづくりを促進させる行政活動で,中心市街地の低利用不動産と中心市街地での出店意志者とをつなげる役割を果たす。加えて官民連携での創業支援や多様な補助金制度が多層的に重なり合い,前橋市の中心市街地では新規事業を始めやすい環境が整っている。前橋市における地域変容は,①人口減少・少子高齢化や商業・サービス業の郊外集積によって低利用不動産が多く存在する状態,②行政や行政と連携した民間資本が,出店意志者と商店街の仲介役として間を介する状態,③新規出店者どうしに新たな地縁関係が形成され,次なる出店意志者をサポートする状態 の3 段階に分類できる。これは,行政から民間へとまちづくりの主体が移行しつつあることを示唆している。
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© 2025 地理空間学会
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