抄録
本研究では,2005 年10 月に復元事業が完成した韓国ソウル市の清渓川について,地上の橋上と河床面(水面)の両方からみた天空率・占空率を分析する。そしてそれによって,両護岸の内側の半地下状の水辺空間について,地上の空間との開放性(あるいは閉鎖性)の比較という観点からその空間的特性を定量的に明らかにする。観測方法としてはまず,レーザー距離計を用いて調査区間内の22 地点において,護岸幅および両岸の護岸高を計測した。次に,調査区間内の橋上および河床に設置された歩行者横断用の飛び石上の45 地点において,魚眼レンズを用いた写真撮影を行い,デジタル画像処理によって天空率と占空率を求めた。その結果,清渓川の水辺空間は,その空間的特性から上流,中流,下流の3区間に区分され,その中で特に中流区間において,高い護岸が水辺空間の閉鎖性を高めていることが定量的に明らかとなった。