日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
総説
末期認知症高齢者の肺炎に対する抗菌薬の予後の改善と苦痛緩和の効果に関する系統的レビュー
平原 佐斗司山口 泰弘山中 崇平川 仁尚三浦 久幸
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キーワード: 末期認知症, 抗菌薬, 肺炎
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2022 年 3 巻 1 号 p. 60-67

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抄録

目的:末期認知症高齢者の肺炎に対する抗菌薬の予後と苦痛の改善効果を検討する.

方法:国内外のデータベースから検索式を用い,末期認知症の肺炎の抗菌薬治療の予後と苦痛の改善効果についての2つ の CQs を含む5つの CQs に該当する 604 論文を抽出,最終的に採用した 17 論文のうちこれらの CQ に該当する6論文を解析した.

結果:末期認知症高齢者の肺炎の抗菌薬治療は予後を改善する可能性があり,とりわけ短期の予後の改善が期待できる.抗菌薬治療の予後改善効果は認知症や嚥下障害の重症度や過去の肺炎回数と関連していた.また,抗菌薬治療が肺炎による死亡前の苦痛を軽減する可能性が示唆された.

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© 2022 一般社団法人日本在宅医療連合学会
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