日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
3 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文
原著
  • 井村 亘, 福井 立基, 二神 雅一, 北山 順崇, 石田 実知子, 大東 真紀
    2022 年 3 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,訪問看護ステーションに勤務する理学・作業療法士(以下:訪看 PT・OT)の信念対立と精神的健康との関連を検討することである.方法は,訪看 PT・OT 91 名に対して,訪看 PT・OT の同職種,他職種,患者や家族との信念対立が精神的健康に影響するとしたモデルの適合性と関連性を検討した.結果,設定したモデルの適合度は良好な値であった.変数間の関連性は,精神的不健康と同職種,患者や家族との信念対立は正の関連性が認められ,他職種との信念対立は関連性が認められなかった.本研究結果は,訪看 PT・OT の精神的健康の向上に向けて,同職種,患者や家族との信念対立に配慮する必要性を示している.

  • 金田 明子, 叶谷 由佳
    2022 年 3 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    背景:訪問看護事業所の教育プログラムの有無と事業所特性の関連を検討する.

    方法:既存のデータセット 136 件を用いて記述統計量を算出した後, 教育プログラムの有無と事業所の特性等について検討した. データセットはオプトアウト後, 匿名化して提供された.

    結果:多重ロジスティック解析の結果, 新人・新任教育プログラムの有無には開設年, 前年度の新入職者の有無, 事業所の全看護師数に対する入職 3 年~ 5 年未満の看護師人数の割合が関連していた.

    結論:新人・新任教育プログラムの整備において開設年が新しい, 前年度入職者あり, 事業所の全看護師数に対する入職3 年~5 年未満の看護師人数の割合が低い所に対し支援の必要がある.

  • 田中 智之, 若松 冬美, 柏木 公一
    2022 年 3 巻 1 号 p. 18-26
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    大規模訪問看護ステーションにおける緊急訪問に関する調査を行い,その特徴を分析した.2020 年 5 月 27 日~ 9 月 1 日にA訪問看護ステーションでの緊急訪問は 236 名 627 件あった.夜間・早朝帯は 181 件(28.9%),深夜帯は 140 件(22.3%)であり,依頼内容は身体症状(71.6%)が最も多かったが,主疾患が悪性新生物とその他では内容や時間帯が異なっていた.緊急訪問の転帰は,往診と救急搬送は各 4 件(0.6%)であった.大規模化により,緊急訪問体制の維持が可能な勤務体制を構築できることや,訪問看護の介入が在宅診療医の負担軽減,地域の救急医療の適正利用に繋がる可能性が示唆された.

  • 河野 由美子, 桜井 志保美, 山﨑 智可, 北林 正子
    2022 年 3 巻 1 号 p. 27-35
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    目的:A県内の訪問看護ステーションに従事する看護職の職務満足度と満足度に関連する要因を明らかにする.

    方法:訪問看護ステーションの看護職 116 人を対象者とし,郵送法で無記名自記式質問紙調査を行った.職務満足度と個人属性,訪問看護業務,主観的健康状態,バーンアウト尺度との関連について2項ロジスティック回帰分析を行った(P < .05).

    結果:看護職 86.2%は「訪問看護師として働くことに喜びを感じている」と回答した.職務満足度の関連要因は,「週 1 回以上,夜間に利用者の対応をする」,「健康である」,「高い個人的達成感」であった.

    考察:訪問看護師の自律性,達成感が職務満足度に関連することが示唆された.

  • 小林 琢, 諸冨 伸夫, 左嵜 壮一郎, 古田 哲朗, 田中 宏和, 弓野 大
    2022 年 3 巻 1 号 p. 36-43
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    目的:高齢心不全患者の訪問リハ利用期間と身体機能の関連を検討した.

    方法:対象 は当院の訪問リハを利用した 65 歳以上の心不全患者 30 例とした.訪問リハ利用期間を中央値(608 日)で非長期利用群と長期利用群の 2 群に分類した.開始時と 180 日後の NYHA 心機能分類および握力の変化を比較した.

    結果:非長期利用群は長期利用群に比べて,NYHA Ⅲ度の割合と過去1年間の入院回数が多かった.非長期利用群では握力が向上し NYHA Ⅲ度の割合が有意に減少した.また長期利用群では握力が有意に低下した.

    結論:高齢心不全患者に対する訪問リハは,その利用期間によって身体機能と重症化予防への効果が異なることが示唆された.

  • 小島 香, 今田 ゆかり, 森本 順子, 冨士 恵美子, 阿志賀 大和, 藤井 博之
    2022 年 3 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    目的:筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の多くは在宅ケアを主としており,コミュニケーション支援は重要な役割のひとつである.在宅生活を送る ALS 患者を対象にコミュニケーシ ョンの実態を調査した.

    方法:対象は ALS 患者 8 名とした.記録をもとに,身体機能,精神機能等の基礎調査を行った.次に,コミュニケーション手段の利用状況について ALS 患者へのインタビュー調査を行った.

    結論:意思伝達装置の使用により精神状態の改善が認められた.しかし,対話相手による円滑さの違いや入力装置の操作に難渋していた.

    考察:適切なコミュニケーション手段の確保により,ALS 患者の社会的交流やコミュニケーション機会の維持につなげることが望まれる.

  • ~一般市民への老衰死に関するインターネット調査より~
    今永 光彦, 外山 哲也
    2022 年 3 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー

    目的:老衰の状態の際に一般市民がどのような医療を希望するか明らかにする.

    方法:一般市民にインターネットによるアンケート調査を行った.シナリオを提示して患者が自身だった場合と家族だっ た場合について質問した.

    結果:経管栄養・心肺蘇生は,「望まない」が自身・家族の場合共に最多であった.輸液・肺炎合併時の抗菌薬投与は,自身の場合は「望まない」が最多で,家族の場合は「望む」が最多であった.

    結論:一般市民は,老衰となった際に積極的な治療の希望が少ないことが示唆された.輸液・抗菌薬投与に関しては,自身と家族だった場合の回答の一致度が高くなく,家族が代理意思の際の意思決定には留意する必要があると考える.

総説
feedback
Top