2022 年 3 巻 suppl.-2 号 p. 27-30
新型コロナウイルスの流行は、在宅医療の現場にも多くの課題と気付きをもたらした。今回、在宅看取り目的で自宅退院、訪問診療が開始となったがん患者が COVID-19 に罹患した。入院の是非を含め、療養場所の選定には患者を中心とした支援チーム全体での迅速な議論を要した。また介護者や介入する医療介護スタッフに対する感染拡大予防を図りながら、質の高いケアを続けるために、事業所間での協力体制の構築が不可欠であった。
日々、在宅医療の現場で行われている共同意思決定支援や、多職種によるチームアプローチに加え、遠隔診療や ICT の活用など、地域で感染症パンデミックに対応するためにはどのような体制が必要か、本症例の経過に若干の考察を加え、述べる。