2023 年 4 巻 2 号 p. 53-56
災害時を想定し限られた食材,調理器具を用いて嚥下調整食の調整を行うことを目的とした.使用食材は国からの支援物資などを参考に 7 品目を選定,調理はカセットコンロやポリ袋等を用い,「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021」記載の嚥下調整食 3 の基準に適合するよう調整を行った.完成した嚥下調整食はクリープメータによる物性測定を行い,その妥当性を検討した.物性測定の結果,調整したほとんどの食材は基準に適合した.不適合の食品は温度変化による物性変化が原因であり,提供時には注意しなければならない.今後災害時に適切な食支援を行うためには今回のような検討を重ね,災害時における摂食・嚥下困難者への食支援体制を確立していく必要がある.