大学のユニバーサル化や国際的競争力,経済社会への貢献,教育の質保証といった様々な文脈において,大学教育のアウトカムを重視する傾向が強まっている.社会人基礎力や学士力が議論の俎上にのぼるのも,こうした背景と無縁ではない.大学教育のアウトカムとは何か,アウトカムはどのような構造に規定されているかという点は,政策のみならず個別機関レベルでも,これまでになく重要になっている.しかし我が国では,この分野においてエビデンスベースの研究が十分に蓄積されてきたとは言い難い.大学教育のアウトカム研究の一翼を担う,学生調査研究の可能性を探った.