高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
論稿
教職課程の教育効果をめぐる評価
現職教員の認識に注目して
長谷川 哲也
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2011 年 14 巻 p. 185-205

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抄録

 本研究では,回顧的な大学時代の状況のみならず,現在働く学校現場の状況にも着目しながら,現職教員が教職課程の教育効果を評価する過程を検討した.質問紙調査の結果からは,活動熱心度や大学満足度といった大学時代の状況だけではなく,職務満足度や在職年数といった現在の状況が,教育効果に対する評価の規定要因となりうることが明らかとなった.さらにインタビュー調査の結果からは,入職後の経験が重視されるという学校現場の文脈から,教職課程の教育効果が評価される過程の一端が示された.教育効果を測定することで大学教育へのニーズをより具体的に把握するためには,職場の文脈によって形成される個々の認識に基づき,教育効果が評価されていく過程を詳細に描き出すことが求められよう.

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© 2011 日本高等教育学会
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