本稿は,国立大学の教育系大学・学部に着目し,その中長期的な改革動向を,ケース・スタディを通して考察したものである.教員採用動向に着目して,教員養成改革の特異なケースを客観的に抽出した後,定量・定性的双方の手法を用いて,カリキュラムや教育実践という狭義の教育改革を越えて,入試や就職支援を包摂する広義の教育改革を対象に,教員採用向上をめぐる改革と成果の因果関係,並びに改革を可能にしたメカニズムの析出を行った.さらに,モノグラフから一般的な枠組の抽出を試み,他の教育系大学・学部の改革を検証する際にも援用が可能な分析枠組を仮説的に提示した.