高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
特集 高等教育研究の制度化と課題
比較教育研究と高等教育研究
山内 乾史南部 広孝
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2013 年 16 巻 p. 9-25

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抄録

 本稿は,比較教育研究の観点から見た高等教育研究の状況について検討することを目的としている.もともと高等教育は国境を越える性格を有していることから,わが国の高等教育研究において比較という研究手法は当初から意識されてきた.日本高等教育学会と日本比較教育学会の学会誌掲載論文の比較では,対象地域の広がりの点で違いはあるものの,どちらも「合わせ鏡」的研究が多く,近年「トランスナショナル研究」の増加が見られるという共通の傾向が確認された.また,年次大会における研究発表題目の分析からは,両学会ともに大学教育の内実に関わる研究が限定的であることが浮かび上がった.互換可能性を高める改革の要請やトランスナショナル高等教育の新たな展開などが強まっている現在,比較という手法はますます重要性を増すと考えられる.

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© 2013 日本高等教育学会
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