2014 年 17 巻 p. 79-94
本稿は日本の大学におけるプログラム・レビューへの示唆を得ることを目的に,マサチューセッツ大学アマースト校とカリフォルニア州立大学ロングビーチ校に注目し,プログラム・レビューの枠組みや体制,大学のミッションや戦略的計画とプログラム・レビューの関係,レビューにおけるIRの役割機能等を検討した.その結果,①多様な学生集団を抱える大学が学生の成功を期した教育改善を実現するには,学位プログラムと教育支援プログラムを対象にした包括的なプログラム・レビューが必要となること,②大学のミッションや戦略的計画と整合したレビューの重点設定や,重点に沿った問いに導かれたセルフスタディが有効であること,③問いを解く過程でのデータ提供や新規調査開発においてIRの機能が発揮されることが明らかとなった.