2015 年 18 巻 p. 29-47
本稿は1990年代以降の我が国の高等教育改革において,機関レベルの大学組織がどのように変遷してきたかを検証し,現在の課題と将来展望を述べる.高等教育改革に伴い大学組織にどのような変化が生まれてきたかを論じるには,まず,用語の概念と定義を明確化し大学組織の構造と意思決定過程をモデル化することが必要である.そして,実質的にどのように運用され変化しているかに焦点をおいて分析する.組織は法制度の影響を受けるが,自ら主体的に変革していく存在でもあり,意図した状態と実態は異なることが少なくないからである.分析の結果,大学は「知の共同体」から「知の経営体」に置き換わったのでなく,過去の組織を基盤に変化した堆積層として新しい組織が出現していることが示される.