本稿の目的は,日本の高等教育における「質保証」に関する政策評価である.質保証の対象として,高等教育の「入口(設置認可)」「出口(卒業時)」に「中身(教育過程)」を加えた3つの観点からとらえる.
大学設置基準の大綱化以降,規制緩和と自由化が進んだ.設置審査(入口)については,不祥事等の度に見直され規制強化の方向に向かってきた.これと対をなすのが,認証評価(中身)であるが,連携や相互補完関係は不十分である.他制度との“接続”の側面を考慮した質保証(多様性とチューニング),「学習成果」の具体的内容についてのコンセンサス,測定の方法論や尺度の設定等,質保証のメカニズムには高等教育関係諸制度の相互連携なしに政策の効果は期待できないと評価できる.
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