高等教育研究
Online ISSN : 2434-2343
特集 高等教育研究におけるIR
高等教育研究における学務情報とIR
学務データを用いたIRとしての研究の構造的困難
岡田 聡志
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2016 年 19 巻 p. 67-86

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抄録

 本稿では,学務データを用いたIRとしての研究の構造的困難性と可能性について,IRの位置づけに由来する研究と実践とのジレンマ,「研究」として成立するための条件,IRが産出するエビデンスの質と中立性に対する懐疑,の観点から論じる.これらの点から,研究倫理や研究実施手続きに関する議論や方針整備の不備を指摘し,それらの検討がIR担当者個人に過度に委ねられている構造を明らかにする.今後IRが発展していくためには,個人(IR担当者,研究者),機関,学会が,それぞれの認識の相違を前提としつつもそれぞれが方針を明らかにし,議論や対話の繰り返しを通じて,高等教育研究における学務データを用いたIRとしての研究が可能となる枠組みについての共通の認識を構築していく必要性を指摘する.

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© 2016 日本高等教育学会
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