2017 年 20 巻 p. 113-133
日本の大学における学生支援は,学生の多様なニーズへの対応が迫られる一方,学習者中心主義の大学教育における質保証という新たな課題にも直面しつつある.本稿は,学生支援の取組で先行している米国大学の学生支援における学習成果を基盤としたアセスメントに着目し,学寮プログラムを事例にその特徴と課題を明らかにすることで,示唆を得ようとするものである.
一定の専門性を備えたアセスメントのスタッフによる相互のやり取り等のコミュニケーションを重視していた他,近年ではより中期的な見通しに基づく戦略計画が策定されている等の特徴が明らかとなった.学生支援におけるアセスメントは,大学全体の戦略や目標,活動やプログラム間の相互関連性を踏まえて運用していくことが重要といえる.