2018 年 21 巻 p. 59-91
我が国では,この5年間,高校教育,大学入試,大学教育の一体的高大接続改革が進められてきている.だが,大学入試の具体像はまだ明確には見えてきていない感がある.学生の多様化をどう捉え,それにどう対処すべきかという点において,いくつかの立場が錯綜しているように思われる.大学入試は,それぞれの時代背景が大きく関わって変化してきているが,学生数(志願者数),進学率,大学数なども,学生の多様性を反映する指標として,その変遷にある程度の関連が見出される.例えば,大学の定員に対して志願者数が増えれば,大学入試は厳しい選抜となり,それに応じて大学数が増え,大学数が多くなれば,学生の多様性に応じた適正配置が選抜の課題となる.現在は,少子化と進学率の上昇傾向が進んでおり,大学はユニバーサル段階に入っている.しかし,現行の入試改革の方針では,共通試験においても,グローバル化の側面が強調されるなど,「大学全入」時代における学生全体が視野に収められているのか疑問も残る.少なくとも,現行のユニバーサル化の流れのなかで,共通試験の役割として求められるべきものを明確に共有することが,高大接続改革を的確に進捗させていくためにまず必要とされることであろう.