2025 年 28 巻 p. 79-100
本稿は,「社会モデル」の視点を用いて,高等教育における障害のある学生への支援を分析している.その結果,法律の整備やガイドラインの周知が障害のある学生の問題における「解消方法の社会性」や「解消責任の社会帰属」という観点で一定の進捗をもたらしたことが確認できた.一方,教育機関による対応格差や「合理的配慮」の限界から,社会的障壁の「発生メカニズムの社会性」に十分な関心が向けられていないことを明らかにした.
アメリカの先行研究からは,ユニバーサルデザイン化による教育環境の改善や,キャンパス風土の評価,学生参画による改善の取り組みが,学業継続や学生満足度を向上させる可能性が示唆された.
日本の高等教育における課題として,対応格差の解消,社会的障壁が発生するメカニズムを分析し学習環境を見直す取り組み,学生の参画を推進する場の提供やキャンパス風土の改善が挙げられる.今後は,実態調査や事例調査を通じて具体的な対応策の提案を深化させていくことが必要である.