国際ビジネス研究
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研究論文
中国企業の品質管理の多様性
潘 宝燕
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2021 年 13 巻 1 号 p. 15-25

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抄録

グローバル化及び情報技術の進展により、企業を取り巻く経営環境が激変している。世界工場と呼ばれている中国企業の存在は重要になってきている。品質管理に関する先行研究を整理すると、SQC、TQC、TQM、ISO9000認証といった規範的品質管理手法が注目されてきた。中国企業の品質管理について、多様な視点からの研究は少なからずあるものの、品質管理のタイミングや実現方法という様式的な特徴についての体系的な分析は、筆者の知る限りにおいて先行研究には見出されない。そこで、本稿では、複数の中国企業の事例研究により、特に品質管理のタイミングや実現方法に注目して中国企業の品質管理の特徴を実証的に明らかにすることを目的とする。

その結果、中国企業の品質管理は、タイミングや実現方法においては多様であることが明らかとなった。中国企業の品質管理のタイミングには、事前・事後重視型品質管理、漫然型品質管理、事前重視型品質管理、事後重視型品質管理の4つのタイプがある。中国企業の実現方法には、設備・人中心型品質管理、設備中心型品質管理、人中心型品質管理、成り行き型品質管理の4つのタイプがある。このように、中国企業の品質管理には多様性が見出された。つまり、中国企業の品質管理は、SQC、TQC、TQM、ISO9000認証のような規範的な品質管理手法を導入するというよりもより柔軟なものである。

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