国際ビジネス研究
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ビジネスモデルのローカライゼーション : ネスカフェバリスタの事例
伊藤 嘉浩田中 洋
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2014 年 6 巻 2 号 p. 31-47

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抄録
本稿の目的は、ビジネスモデルがどのようにローカライゼーションし、その過程で進化を遂げていくかを明らかにすることである。この課題を明らかにするために、ネスレ日本のネスカフェバリスタの事例を取り上げ、例示して、議論する。つまり、海外本社発のビジネスモデルが、日本のニーズや事情に合わせて、どのように現地に適応、すなわちローカライゼーションしてさらに成功を収めていくかを、最近の顕著な成功例であるネスカフェバリスタの事例を通じて、明らかにしていくことを目指している。本稿ではこの事例の詳細を提示し、さらに以下の点を考察した。(1)ローカライゼーションとして製品とビジネスモデルの2つの側面があったこと、(2)インスタントコーヒーを消耗品中心のビジネスモデルへ進化させたこと、(3)ビジネスモデルのローカライゼーションの条件として、グローバルマトリックス組織に、メタナショナル経営の特徴を組み入れ、支社の戦略的イニシアティブと本社との製品開発やビジネスでの調整活動のもと、ローカライゼーションは製品のみならず、ビジネスモデルについても支社の自由度が大きく、任されていること、を見出した。また、このような調整活動を行うために、創発的であり、論理的に本社を説得できる能力が、現地社員に求められる条件であった。
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© 2014 国際ビジネス研究学会
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